脱炭素 化石燃料・石油の消費を削減しなくてはならない本当の理由 環境問題・資源の枯渇

遠くに見える工場群と大量の煙と高圧電線鉄塔 記事・レポート

脱炭素は地球温暖化対策のためだけじゃない。石油や化石燃料の枯渇。本当の人類の危機のために温存しておくべき

化石燃料、特に石油の使用は地球温暖化と環境問題の原因としてよく語られるます。石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料の使用がCO2を増大させて地球を温暖化させ、海洋へ流出したプラスチックが海の資源を汚染していることが知られてきました。

一方で2025年1月にアメリカ大統領に就任したドナルド・トランプ米国大統領(2期目)は地球温暖化は詐欺だとし、気候変動枠組み条約に基づくパリ協定から離脱を決定しました。

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世界の地球温暖化への取り組みは大きな後退の危機を迎えていますが、もう一度、化石燃料の削減が必要な理由を考えてみたいと思います。

化石燃料とは

化石燃料とは石油、石炭、天然ガスなどです。主に動物や植物の死骸が数百万年から数億年前に堆積したものが地中で地下の圧力や熱によって形成されたものです。

つまり、再形成するとすればそれだけの長期の年数が必要になるということです(可能ならばということではありますが)。

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地球温暖化の原因となっている

化石燃料を燃焼させることによりCO2(シーオーツー、二酸化炭素、炭酸ガス)が発生します。CO2は温室効果ガスといわれ、地球の大気中で増加すると地球が宇宙に向けて放出している熱が減少し大気中にこもるようになり、地球大気の気温が上昇します。

地球大気が上昇すると北極と南極の氷が溶けだして地球の海の海面が上昇します。また温度の上昇で大規模な気候変動が起こります。大気が不安定になり、異常気象を頻発させたりします。

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環境破壊の原因となっている

石油で作られたプラスチック製品のごみが海洋に流れ出して海洋汚染を引き起こしていることは最近、よく聞くことです。近日では新たに米国大統領に就任したトランプ大統領がプラスティック製のストロの使用の制限を取りやめたことで話題になりました。

プラスチック製品は自然界では分解しないためゴミとして出されたものが土中や海洋へ投棄、流出するとそれらは細かく砕けてマイクロプラスチックとなり、それらを食べた魚などが生育に不良をきたし深刻な環境汚染となっています。それらはそれを食べる動物、人間に蓄積されていき、様々な人体への害、影響が心配されています。

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プラスチックは地球上に半永久的に残るため、将来の人類にとんでもない影響を残す可能性があり、一刻も早く、プラスチックごみの流出と過剰なプラスティック製品の使用を止める必要があります。

さらには自動車やトラックの排ガスや工場からのばい煙などの大気汚染も深刻です。その原因の多くが化石燃料の燃焼によるものです。

代表的なものが窒素酸化物(NOx:ノックス)です。ディーゼル車が規制されたので覚えている方も多いのではないでしょうか。

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また、タンカーや海上油田での事故で海洋に流出した石油、また陸上でも油田の掘削の際や油田からの関連物質の漏出による環境汚染も深刻です。

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化石燃料、特に石油による環境破壊、環境汚染は枚挙にいとまがないでしょう。

化石燃料はいずれ枯渇する―我々の世代、時代で掘削しつくしてもいいのか?

先述したように化石燃料は主に動物や植物の死骸が数百万年から数億年前に堆積したものが地中で形成されたものです。ですから、無限にあるわけではなく、有限でいつかは枯渇します。

石油、石炭、天然ガスがこれから何年持つのかは、別の記事で書きました。

現在の化石燃料の採掘可能年数は石油、天然ガスは約50年、石炭で約140年です。新たな利用可能資源が見つかり、また技術の向上で採掘可能年数は伸びる傾向にあります。しかし、太古の時代の動物や植物の死骸が元の材料だとすると、地球上にそんなに無尽蔵にあるとは思えません。

つまりこのまま減少ぜずに消費していけば、数十年から百数十年後には枯渇する可能性があります。

そのころには代替エネルギーはあるのでしょうけれど(あるはずだと信じたい)、数億年かけて形成されてきた化石エネルギーをこの短期間で消費してしまっていいのでしょうか。

私には「よい」と感じられないのですが。

100年は1億年の100万分の1です。化石燃料の形成の始まりから現代までの期間と比べると、現代の産業革命以降(18世紀半ば以降)から現代までの期間はほんの一瞬だと言えるでしょう。

そのほんのひと時のために、100万倍も長い期間を必要とした形成物を使い切ってしまってよいのでしょうか?

人類の将来のため、将来の世代のため―あなたにとっては、ばかばかしくても、子どもにとっては、ばかばかしくない。

人類の将来世代のために地球温暖化やSDGsに取り組むなんてばからしい、恥ずかしいこと などと言われるときがあります。

「何十年後には、また新しい石油や天然ガスが見つかってるよ」と子どもに話したとしたら、その子はどう思うでしょう。受け止め方は多々あるとは思いますが、「そうだな、みつかるさ」と思える子もあれば「ほんとかな」といぶかしく思う子、心配する子もいるでしょう。心配する子からすれば「なんて無責任な大人なのだ」と思うかもしれません。

あなたにとって50年後、100年後はずっと未来、死後の世界かもしれませんが、子どもからすれば、まだ現役世代、またはその子の子(あなたにとって孫)が生きる時代になります。子どもにとって、あなたよりずっと未来は身近な不安要素なのです。

このことは当時高校生だったスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんが2018年に1人で座り込み開始して訴えたことでもあります。

本当の人類の危機的事態への備えのために、将来の世代のために化石燃料は残しておく

万が一の深刻な危機事態の到来を、多くの人々が感覚的に起こりそうに思っていないことにとどめておくことは、東日本大震災での津波の襲来を「想定外」として備える範囲外においた日本人としては良くないことだと学んだことです。

危機的事態には再生可能エネルギー、自然エネルギーが大幅に利用できなくなる危機がありえます。

危機的事態―大規模火山の噴火など―と自然エネルギー・太陽光発電

例えば大規模な火山の噴火などです。近世の日本でしたら浅間山の大噴火があります。1783年の天明大噴火は記録が残る浅間山の噴火では最大級とされています。ウキペディアによるとこの年はアイスランドでも噴火があり大量の火山灰が北半球を覆ったとされています。

天明大噴火 - Wikipedia

このような時には太陽光発電の出力は低下すると予測できます。

さらには、かなり確率は低くなりますが、巨大隕石の地球への衝突も考えられます。恐竜が絶滅した原因は巨大隕石が衝突したことだという説が有力で、この時は気候が激変し、日照が大幅に減り、植物が生育しなくなり大型生物が絶えたというものです。そのようなことがおこれば当然、自然エネルギーの発電量も激減するでしょう。

人類社会の持続可能性を考えるなら、こういった数百年、数千年さらにそれ以上先を見据えた考え方も必要です。

このような自然エネルギーが大幅に減少する危機的事態のために、人類ができるだけ使わずに貯えてきた化石燃料を使うということです。

太陽光という自然エネルギーが不足するときに化石燃料を使うというのは、化石燃料がそもそも太陽からのエネルギーを地球の大地の中に固着させたものであること考えれば、至極自然なことです。

そんな何万年、何千万年に一度のことに備えるのかと言われても、現在使っている化石燃料が数億年前に形成されたものであることを考えれば、時間のスパンとしては合点がいくものではないでしょうか。

本当の人類の危機―「核の冬」と自然エネルギー・太陽光発電

さらにはそのような自然災害による危機だけではなく、絶対にないようにしなければなりませんが、人為的な危機もあります。

万が一、戦争で核兵器が使用され核の冬が到来したらどうなるのでしょうか。戦争でなくても誤発射、事故による核の爆発などあればどうなるでしょうか。また、原子力発電所でこれまでの事故では考えられなかったような、厳しい危機的事故が起こればどうなるでしょうか。

ないと願っているが、化石燃料は本当の人類的危機のために保存しておくべき

あってはなりませんが、そういった人類の本当の危機のためにも化石燃料は存置すべきです。

あったとしても、その危機は遠い将来のことかもしれません。しかし、地球が化石燃料をもし再び作ることができたとしても何百年から何億年もかかることを思えば、「今、使ってしまう」とその危機の時にはほぼ、ないでしょう。

私たちの選択によっては、ないことを願いたいですが。将来の人類から称賛されるかもしれません。

石油化学製品によっては現在の技術では最善のものもある―医療用品など

石油化学製品は科学技術の産物として大量に活用されてきました。プラスチックや合成繊維などです。例えば、私たちが日々、お世話になっているお薬も大半が化学製剤で石油が原料となっています。医療器具でもプラスチック製品は重要な役割を担っています。また衛生上、プラスチックでないと困るものもあります。また特殊な環境下で使われる衣服類-防寒具、合成ゴム製品-などがあります。

石油化学製品はこう使われる|石油化学工業協会

現代的な生活の上では医薬品など人命や健康のために石油製品を使わざるを得ない局面も多々あります。どのような分野でもリサイクル率の向上や代替原料の開発が進むことが必要です。一方、どうしても使わざる得ない部分がある以上、それが人類史上で末長く使えるようにするためには、現在のように現在把握されている埋蔵量を50年程度で使い切ってしまうような消費の仕方は改めなければなりません。

地球温暖化に懐疑的であっても化石燃料の使用を削減すべきである理由はいっぱいある

地球温暖化に関しては懐疑的な論もあります。しかし、地球温暖化以外にも脱化石燃料すべき理由はいくつもあることを見てきました。

化石燃料の使用をすぐにやめると言ってもすぐには止まりません。自然エネルギー、再生エネルギーの拡充をするとしてもその機器、設備の増設、開発が必要です。代替エネルギーをどうするかの議論も必要でしょう。

一部の国だけが取り組んでも効果は薄いでしょう。化石燃料の削減に取り組まない国が脱化石燃料に取り組む余分なコストと手間、不便を回避して経済的に発展していくとしたら、正直者がばかをみるみたいなことになってしまいます。現在、気候変動枠組条約、パリ協定(2015年)において世界で共同歩調がとられていますが、アメリカのトランプ大統領(2期目)がパリ協定から離脱する大統領令に署名したため(2025年1月)、先行きの懸念材料になっています。

一方で脱化石燃料を進めるために、エネルギ―をこれまで同様の量を使うことを見なおすことも必要となるでしょう。別の記事で書きましたが世界の各国での国民一人当たりの石油消費量は世界全人口平均では1人1日約2ℓですが、日本では1人1日4.3ℓと4.3倍も使っています。

脱化石燃料への取り組みを急速に進めたとしても、すぐに石油など化石燃料の消費を劇的に削減することは難しいのです。それは設備の建設、技術の開発、国民的な議論と合意が必要となるからです。時間がかかるなら、早く始めた方がいいのです。

日本でも化石燃料の使用削減への取り組みは始まっていますが、日本の取り組みは十分とは言えません。

日本の地球温暖化対策に皆さんの声を届けよう
日本で行われている地球温暖化対策のポイントと不十分な点を解説しています。そして政府に対して意見を届ける方法を説明しています。

日本は現在、2030年には温室効果ガスの排出量を2013年度水準から46%削減することを目標としています。

CO2(二酸化炭素)排出削減に向けた世界各国の取り組みと日本の現状は?
現在、環境問題への取り組みは世界各国の共通認識となっています。特に地球温暖化の原因と言われているCO2の排出削減に向けた動きは、ニュースなどでも連日報道され、注目されています。...

私たちの身の回りだけの努力だけで達成するわけではなく、電力会社や自動車メーカー、各種工場、事業所の努力があって達成を目指すものです。とはいえ、皆さん、それだけ化石燃料にまつわる生活上の場面が削減できているとは言い難い現実があります。私たち自身の個人的な努力―例えばアイドリングストップ、できるだけ自動車を使わない、など―とともに企業、政府へ取り組みを求める世論形成が大事です。

日本、世界での取り組みを抜本的に強める必要があります。